「商学部」から介護の道へ。 大卒社員に聞く、介護職のキャリア。
2020年08月17日 / 桜十字人インタビュー

桜十字病院 ケアワーカーチーフ 介護福祉士
上野 智清
熊本学園大学の商学部を卒業し、2013年4月に新卒ケアマネジメントスタッフ(介護職)として桜十字病院へ。
無資格からスタートして3つの資格を取得。ケアワーカーリーダーを経て、入職8年目の夏、ケアワーカーチーフに就任。
社内表彰受賞歴も多数。「2014年 貢献社員」「2015年度 年間MVP」「2016年 貢献社員」「2019年度 患者さま・お客さま満足賞 特別賞」など。


キャリアについて

介護職を目指したきっかけは?

大学生のころ、接客のアルバイトをしてたんです。「ありがとう」と言ってもらえることにやりがいを感じていて、将来も人と接する仕事がしたいと思っていました。ご年配のお客さまと接する機会が多かったこともあったんですが、介護職に就職したアルバイト先の先輩からいろいろと話を聞いているうちに興味を持ちました。求人がたくさんあって悩みましたが、会社説明会で出会った桜十字の人の対応が丁寧で、「いい会社だな」と思ったたことが入社のきっかけとなりました。

未経験で飛び込んだ介護職。どのようにステップアップしていきましたか?

桜十字病院の介護職は無資格でも始めることができますが、まずは知識を身に付けたいと思い介護の資格を取得していきました。1年目に介護に関する基礎的な知識や技術を学ぶ入門的な資格である「介護職員初任者研修」を、3年目には、より専門的で深い内容を学ぶ「介護福祉士実務者研修」を取得しました。どちらも桜十字病院内で開講されていたため、仕事をしながらでも通いやすかったです。そして4年目には「介護福祉士」という国家資格を取得しました。介護福祉士には受験資格が決められていて、実務経験3年と、先ほどの「実務者研修」を修了していることが条件です。ちょうど4年目に介護福祉士を取得できるよう計画的に勉強していました。

介護福祉士取得後のキャリアとは?

介護福祉士を取得したあとケアワーカーリーダーに昇格、さらに入職8年目にはケアワーカーチーフに昇格しました。介護業務だけでなく、新入職員や海外人材の教育、病院のケアの質向上を目指すケアワーカーリーダー会の企画運営など、業務の幅が広がっていきました。任せてもらえる範囲が広がって、やりがいと思える仕事も増えました。昨年は、ケアワーカーリーダーのメンバー数名で石川県で開催された介護福祉士の学会に参加しました。介護業界の現状や最新の介護技術について学ぶ良い機会となり、いつかはこの学会で発表したいという目標もできました。

職場について

病棟について教えてください。

私が所属する南4階病棟は「医療療養型病棟」といって、寝たきりの患者さんからお話ができる患者さんまで、長期療養を必要とされるさまざまな方が入院されています。高齢の患者さんが多く、なかには「孫に似とる」と可愛がって下さる方もいらっしゃいます。

職場の雰囲気は?

スタッフは家族のようにあたたかい感じがします。19歳~60代後半まで幅広い年代のスタッフがいて、年齢構成もまるで家族!(笑) 明るい人が多くて、落ち込むことがあっても職場に来ると元気が出るくらいです。大変な業務ほど率先して行おうとする空気があり、職種の垣根なく協力し合う関係で仕事もしやすいです。

仕事について

印象に残っているエピソードを教えてください。

まだ駆け出したばかりの入職1年目に対応したある患者さんのことが、今でも心に残っています。最初は認知症の対応に苦労したんですが、地道に信頼関係を築いていった方でした。

最初はどんな状況でしたか?

最初のころは、その患者さんにいつも怒られていました。「ごはんを食べましょうか」とお声掛けすると「誰ね!?(怒)」と。もちろん、もともとの性格ではなく認知症が原因です。認知症を患うと不安感や恐怖感から強いストレスがかかり、精神的に不安定になるケースが少なくありません。

入職1年目、とても悩んだと思いますがどのように乗り越えましたか?

対応に悩み先輩社員に相談したところ「肯定的にケアをすること」を教えてもらいました。例えば、どこかへ行こうとしている人に「寝てください」と言うと、自分の気持ちが”否定された”という印象を与えてしまい、周辺症状の暴力や暴言につながり手が付けられなくなってしまいます。そこで「●●に行きたいですか?」と言ってそのまま一緒に歩いて落ち着くのを待ち、落ち着いたところで「ベッドで寝ましょうか。」というとスッと寝てもらえました。このようなケアを根気強く実践し続けていると、徐々に落ち着きを取り戻され、暴言の回数が減っていきました。

信頼関係ができてきたんですね!

その患者さんは、認知症の症状が進行し他のスタッフの名前を忘れていく中、私の名前だけはずっと覚えていてくれました。そしてある日ぽつりと「あんたがおって良かった」と言われたときには、日々積み重ねてきたことが信頼関係につながったような気がしてとても嬉しかったです。その後亡くなられてしまいましたが、あの時いただいた言葉は今でも心に残っています。このときに経験した、患者さんと長い時間をかけて信頼関係を築いていくやりがいは、その後も私の原動力になっています。

さらなるキャリアアップを目指して。

今後の目標を教えてください。

ちょっと大きな目標ですが、桜十字病院全体の介護の質の向上と、病院の介護職の教育スキルアップですね。そのために2つのことに取り組んでいます。
一つめが、「ヒューマニティケア」を学ぶこと。2020年夏より、桜十字病院では「ヒューマニティケア」を導入しました。ヒューマニティケアとは、これまでの「身体を休ませる看護・介護」ではなく「自立支援型の看護・介護」を目指す桜十字オリジナルのケアの名前です。これから院内で開講される講座「ヒューマニティケア エキスパートコース」の受講メンバーに選抜していただいたので、ヒューマニティケアの病棟コアスタッフとなる一期生として身に着けていきたいです。
もう一つが、教育に対する取り組みです。桜十字病院には12の病棟があり、ほぼ各病棟にケアワーカーリーダーが配置されています。そのメンバーで集まって行うケアワーカーリーダー会の運営を、副看護部長ともう一人のチーフとともに行っています。今年は「フィジカルアセスメント力をつける」という目標を立て、勉強会を企画したり、疾患・病状・介護上の問題などを検討・共有したりしながら理解を深めています。
これらの活動を通してまずは自分の学びを深めて、それから病棟に持ち帰ってすみずみに伝えることで、病院全体のケアの質向上に貢献したいと思っています。

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人事部 御手洗 桜
取材日:2020年8月12日 ※所属や役職等は、取材日時点の情報です。

関連サイト//「桜十字病院 介護職について」
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