ワクチン詳細
- 二種混合ワクチン
- 四種混合ワクチン
- 4価髄膜炎菌ワクチン
- A型肝炎ワクチン
- B型肝炎ワクチン
- BCG
- Hib(ヒブ=ヘモフィルス-インフルエンザb)ワクチン
- インフルエンザワクチン
- おたふくかぜワクチン
- 狂犬病ワクチン
- 子宮頸がん予防ワクチン
- 小児用肺炎球菌ワクチン
- 水痘ワクチン
- 日本脳炎ワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
- 破傷風ワクチン
- 風しんワクチン
- フルミスト点鼻液(インフルエンザワクチン)
- ポリオ不活化ワクチン
- 麻しん(はしか)ワクチン
- 麻しん・風しん混合ワクチン
- ロタウイルスワクチン
二種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)
- ジフテリア
- ジフテリアは、ジフテリア菌の飛沫感染(空気感染)で起こります。最近は、患者発生数が年間10名未満と少なくなってきましたが、これは予防接種のおかげです。ジフテリアは、感染しても症状が出るのは、10%程度の人で、残りの人は不顕感染のため、保菌者となりその人を通じて感染することがあります。症状は、高熱、のどの痛み、犬吠様の咳、嘔吐などで、偽膜を形成して、窒息死することもある恐ろしい病気です。発病2~3週間後には菌の出す毒素によって、心筋障害や、神経麻痺を起こすことがありますので、注意が必要です。海外では、今でも流行があります。予防接種を続けていかないと日本でも再び流行する可能性があります。
- 破傷風
- 破傷風は、土の中にいる破傷風菌が傷口から侵入して病気を起こします。菌の出す毒素のために口が開かなくなったりけいれんを起こしたり、死亡することもあります。患者の半数は自分では気がつかない程度の軽い傷が原因です。菌は日本中どこでもいますので、感染する機会はあります。またお母さんが免疫を持っていれば新生児の破傷風も防げますので、ぜひ予防接種を受けておきましょう。
二種混合ワクチン
ジフテリアと破傷風の2種類のワクチンがはいっているものです。いずれもトキソイドと言ってジフテリア菌と破傷風菌の毒素を処理してワクチンにしたものです。日本では乳幼児期に三種混合ワクチンを4回接種し、11~12歳で二種混合ワクチンを1回接種するようになっています。
乳幼児期に4回接種していれば十分な免疫ができますが、1回のみの接種では免疫はできません。初めて接種するときは3~8週間隔で2回接種し、6~18ヵ月後(標準12~18ヶ月後)に3回目を接種します。
予防接種の副反応
一般的には副反応はほとんど起こりません。注射後、数日以内に軽いしこりがみられることがあります。まれに接種当日、熱がでることがありますが、翌日は下がることが多いようです。
四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)
- ジフテリア
- ジフテリアは、ジフテリア菌の飛沫感染(空気感染)で起こります。最近は、患者発生数が年間10名未満と少なくなってきましたが、これは予防接種のおかげです。ジフテリアは、感染しても症状が出るのは、10%程度の人で、残りの人は不顕感染のため、保菌者となりその人を通じて感染することがあります。症状は、高熱、のどの痛み、犬吠様の咳、嘔吐などで、偽膜を形成して、窒息死することもある恐ろしい病気です。発病2~3週間後には菌の出す毒素によって、心筋障害や、神経麻痺を起こすことがありますので、注意が必要です。海外では、今でも流行があります。予防接種を続けていかないと日本でも再び流行する可能性があります。
- 百日咳
- 百日咳は、百日咳菌の飛沫感染で起こります。普通の風邪のような症状で始まります。続いてせきがひどくなり、顔を真っ赤にして連続性に咳き込むようになります。咳のあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。熱は出ません。乳幼児は咳で呼吸ができず、チアノーゼやけいれんが起きることがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こし、命を落とすこともあります。過去(1970年代後半)、予防接種率が低下した時に百日せき患者が多数出て、年間に113名の死者を出したことがあります。このようなことを繰り返さないためにぜひ予防接種を受けましょう。
- 破傷風
- 破傷風は、土の中にいる破傷風菌が傷口から侵入して病気を起こします。菌の出す毒素のために口が開かなくなったりけいれんを起こしたり、死亡することもあります。患者の半数は自分では気がつかない程度の軽い傷が原因です。菌は日本中どこでもいますので、感染する機会はあります。またお母さんが免疫を持っていれば新生児の破傷風も防げますので、ぜひ予防接種を受けておきましょう。
- ポリオ
- ポリオは『小児麻痺』とも呼ばれ、発熱を伴って手足に麻痺を起こす病気です。ポリオにかかっている人の便から感染します。感染後約5日前後の潜伏期間ののち、発熱、嘔気、頭痛などを伴って発病します。感染した人の90~95%は全くの無症状の「不顕性感染」となります。現在日本にはポリオの発生はありませんがアフリカ、アジアの一部には流行が見られます。
四種混合ワクチン
四種混合ワクチンはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つのワクチンを含んでいます。
Ⅰ期として初回接種3回、6ヶ月以上の間隔で追加接種を1回行います。またⅡ期として小学6年生時に二種混合(ジフテリア、破傷風)で追加免疫をします。基礎免疫を完了すれば98~99%の方が抗体を獲得します。ポリオワクチンは平成24年8月までは生ワクチン(内服)でしたが9月から不活化ワクチン(注射)に変わりました。
予防接種の副反応
副反応は注射部位の発赤、腫脹、硬結(しこり)などの局所反応が主です。その他発熱がみられますが、三種混合ワクチンと同等と予想されています。高熱が出たり腫れが目立つときなどは医師に連絡してご相談ください。
4価髄膜炎菌ワクチン
- 侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)
- 感染すると感染者の鼻やのどの粘膜に定着し、発症しないものの保菌者(不顕性感染者)となるか、急激に発症します。感染者の咳やくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる菌が口や鼻などの粘膜に直接触れること、感染者からの唾液の直接接触(キス、コップやペットボトルの回し飲みなど)で感染します。
潜伏期間は2~10日(平均4日)で、初期症状で発熱、頭痛、嘔吐など風邪のような症状が現れます。菌は粘膜から血中に入り、菌血症や敗血症、脳脊髄膜炎を引き起こします。乳幼児では、発熱、嘔吐などの症状が主で、頭部の前面にある大泉門に盛り上がりが認められることもあります。また、目の結膜や口の中・周りの粘膜、皮膚に点状の出血や、体幹や足に出血斑がみられることがあります。時として劇症型と言われる重篤な状態を引き起こし、頭痛、高熱、低血圧、痙攣、意識障害を呈し、皮膚や粘膜に出血斑を伴い、ショック等により1~2日で死に至る場合があります。他に上気道炎、肺炎、関節炎、中耳炎、咽頭蓋炎、心内膜炎、結膜炎、膣・子宮頸管炎などさまざまな症状が報告されています。
国内での発症は乳幼児と10代に多く、死亡者全体の半数を15~30代が占めています。
この感染症により髄膜炎や敗血症を起こした場合には、治療をしないと死亡率はほぼ100%に達すると言われていますが、早期に適切な治療を行うことで治ることもあります。しかし、適切な治療を受けた場合でも11~19%で難聴や神経障害、手足の壊死による切断等の後遺症が残る場合があります。
4価髄膜炎菌ワクチン
髄膜炎菌には13種類の型があり、特にIMDではA、B、C、Y、W-135の血清型が分離されています。このワクチンではA、C、Y、W-135によるIMDを予防します。ワクチンの成分にジフテリアトキソイドが含まれていますが、ジフテリアに対するワクチンにはなりません。11~12歳で1回目を、16~18歳で追加接種を推奨しています。
予防接種の副反応
最も多くみられる副反応は接種部位の痛みや筋肉痛、倦怠感、頭痛などです。海外で報告されている重い副反応としては、血管迷走神経反射として失神、ショック、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、ギラン・バレー症候群、横断性脊髄炎、けいれん、顔面神経麻痺などがあります。
A型肝炎ワクチン
A型肝炎ウイルスの感染によって起こる病気です。日本では衛生環境が整い、最近大きな流行は起こっていません。感染経路は口からで、食べ物、飲み物から感染します。とくに便は感染源として重要です。発展途上国では生鮮食料品、水(飲料水、市販の飲み物、プール、河川)からの感染が見られています。
日本では最近流行がないため40歳以下の人はほとんど免疫をもっていませんが、50才以上は85%の人が免疫を持っています。海外、特に発展途上国では大きな流行が見られています。
潜伏期は2~6週で高熱、倦怠、食欲不振、嘔吐、黄疸、肝機能異常などが見られ、1~2ヶ月で治癒します。症状がほとんどない不顕性感染、逆に重症の劇症肝炎で死亡する場合なども見られます。
A型肝炎ワクチン
非常に新しいワクチンで、日本では1995年に発売されました。不活化ワクチン(ウイルスが生きていない)で、欧米のものに比べ力価(効果)が高く、ワクチンの添加物が少ないため、安全性が高いと言われています。
希望者は誰でも接種できますが、特に発展途上国への渡航者、医療従事者などへ勧められています。
一般的には2~4週間隔で2回、さらに初回接種後24週を経過した後に追加接種を行いますが、短期の海外出張の場合は2回接種でも十分な免疫ができます。子供に対しても有効性と安全性は確認され、特に問題は起こっていません。平成25年3月1日付で16歳未満の小児に対する使用の追加承認が得られました。
予防接種の副反応
発熱、局所反応(疼痛・発赤)、全身反応(倦怠・頭痛)など、成人では数%の報告があります。通常2~3日で消失します。小児については、上記副反応は1.8%と報告されています。日本での接種数はまだそんなに多くありませんが、大きな副反応の報告はありません。万が一の副反応発生時には国・市町村は関与しませんが、医薬品副作用・研究振興調査機構による救済制度を利用することができます。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ウイルスが体の中に入ってきて肝炎を起こす病気です。伝染力は弱く、ほとんど血液を介する感染です。急性B型肝炎の場合は、発熱、黄疸、全身倦怠などが見られますが、慢性B型肝炎の場合は症状が出ないことがあります。B型肝炎で一番問題になるのはキャリア、つまり血液中にウイルスを長年にわたって持っている人です。キャリアの人は将来、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんになる心配もあります。キャリアは、我が国では人口の約1~2%ですが、東南アジア、アフリカなどでは10%以上の国も多いのです。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎を予防するためのワクチンです。現在のワクチンは遺伝子組換えの技術を応用し、人の血液からは作られていません。その効果安全性とも優れたものです。3回接種する事によって十分な抗体(免疫)ができます。接種間隔は4週間隔で2回、さらに1回目の接種から20~24週を経過した後に3回目を接種します。ワクチンの持続期間は個人差が大きく、一般的には数年~10年は持続するといわれています。キャリアからの感染の危険性の高い人はワクチンによる予防が勧められています。キャリアの配偶者、家族、医療関係者、海外長期滞在者などです。
予防接種の副反応
ほとんど副作用の報告はありません。しかしながら1984年に実用化された非常に新しいワクチンであるため、今後副作用の可能性は0ではありません。接種後の注意深い観察は必要です。ときに、過敏症(局所の硬結、発熱、蕁麻疹など)、消化器症状(主に吐き気)、精神症状(頭痛、眠気)があらわれることがあるといわれていますが大きな副反応はありません。
BCG
- BCG
- BCGは、結核に対する予防接種です。3ヶ月~1歳未満はツベルクリン反応を行わずBCGを接種します。生後3ヶ月未満でも希望があれば接種できます。1歳以上は生BCGを接種します。陽性であれば、レントゲン検査や血液検査をし、必要であれば予防のお薬を飲みます。
- 結核とは
- 結核とは結核菌の感染によって起こる病気で、子供の場合は肺結核、結核性髄膜炎などが問題になります。過去の病気と考えられていた時期もありましたが、最近では増える傾向にあります。日本では最近でも5万人以上が結核患者として登録され、世界では毎年200万人ほどの命が奪われ、900万人の患者が発生しています。また、薬の効かない結核菌も問題となっています。
- 接種部位の変化
- 接種後10日頃から注射した部位が赤く、硬くなり、つぎに膿のある水疱となってかさぶたになります。(これは副反応でなく通常の反応です。1ヶ月頃が最も強い反応が出ます。2~3ヶ月で小さな瘢痕になり、1年後には白斑となります)逆に1ヶ月経っても、針の痕が確認できないようでは、免疫は弱いといえます。(最低9個程度の針痕が必要といわれています)この場合3ヶ月後にツベルクリン反応検査をして、結果が陰性ならば再接種することが望ましいのですが、市町村により対応は様々で、実際には難しいようです。
※10日以内に接種部位が赤くはれたり化膿したりするときはご連絡ください(コッホ現象といいます)。
BCGの効果
正確に接種した場合、1ヶ月後には十分免疫が出来ています。発病予防効果も、10年以上といわれています。100%結核を予防することはできませんが、子供の結核(特に結核性髄膜炎)の予防効果は大きいと言われています。
予防接種の副反応
腋窩(脇の下)のリンパ節が腫れる(0.7%)ことがありますが、通常数ヶ月で自然によくなります。2cm以上大きくなったり、痛みがあったり、うみが出るときは病院を受診してください。時に局所反応が強く糜爛(ただれる)になることがあり(1.6%)、程度が強かったり3ヶ月を過ぎても治癒しないときはケロイドを残すこともあります。その他特殊な副反応は皮膚結核様反応(100万人に1~2名)、骨膜骨髄炎、骨髄炎(100万人に0.4人)、まれに全身性BCG炎(全身播種)が報告されています。
Hib(ヒブ=ヘモフィルス-インフルエンザb)ワクチン
ヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)によって起こる病気です。この菌によるもっとも重大な病気は化膿性髄膜炎です。その他のヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)感染症としては、喉頭蓋炎、蜂窩織炎、関節炎、肺炎、敗血症、中耳炎などがあります。髄膜炎では発熱・頭痛・意識障害があり、首が硬くなります。抗生物質等の治療を行って致命率は2~5%であり、生存した場合では15~30%で聴力障害や神経障害などが見られます。喉頭蓋炎はのどの奥の炎症のため窒息の可能性があり注意が必要です。この感染症へのかかりやすさは、年齢によって違います。生後6ヶ月までは、母親からもらった免疫によって守られている乳児もいます。そのため、生後6~7ヶ月でヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)感染症となる乳児が多いです。5歳以上では、ヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)感染症となることは少ないです。治療には抗生物質が使われます。耐性菌があるので注意が必要です。健康な乳幼児の0.5%~3%で鼻やのどでヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)が検出されます。
Hibワクチン
不活化ワクチン(病原体が生きていない)です。一般的には3種混合と同じ日に計4回接種をおすすめします。
2ヶ月~6ヶ月児は4週間の間隔で3回接種し、7ヶ月後に追加接種を行います。
7ヶ月~11ヶ月児は4週間の間隔で2回接種し、7ヶ月後に追加接種を行います。
1歳~4歳児は1回のみ接種を行います。
5歳以上の子どもや大人には、ヒブワクチンは不要です。ただし、脾臓のない人、免疫不全状態の人、鎌状赤血球症の人は、1回の接種をお勧めします。
予防接種の副反応
軽度の副作用
接種部位が、赤くなったり、熱をもったりあるいは腫れることがあります(4人に1人以下)。また38.3℃以上の発熱がみられることがあります(20人に1人以下)。これらの副作用は、接種後24時間以内に発生し、通常そのままで2~3日後には改善します。
中度あるいは重度の副作用
まれにアレルギー反応で接種後2~3時間以内の息切れ、かれ声やゼイゼイと息をする、じんま疹、蒼白になる、虚弱感、鼓動の高まりやめまいなどが出ることがあります。このような場合は大至急医療機関へ連れて行くようにしてください。
HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)
子宮頚部の入り口あたりに発生することが最も多いがんが子宮頸がんです。主にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で、性交渉の経験がある女性なら誰でも感染する可能性のあるウイルスといわれています。 通常子宮頸がんは、一定の時間をかけてゆっくり増殖し、自覚症状がないまま進行するという特徴があります。また、若年者に多いのも特徴で、子宮頸がんにかかる女性の約15%が20~30代となっており、日本では毎年約10,000人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約3,000人が子宮頸がんで命を落としているというデータもあります。
9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)
HPVにはいくつかの種類(型)があり、9価ワクチンは、このうち9種類のHPVの感染を防ぐワクチンです。その中でも、子宮頸がんの原因の80~90%を占める、7種類のHPV(HPV16/18/31/33/45/52/58型)の感染を予防することができます。
シルガード9を接種する9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6~12ヵ月の間隔をおいた合計2回の接種をします。
※公費が適用されるのは小学校6年生~高校1年生に相当する女性のみ
予防接種の副反応
主な副反応として、注射部位の疼痛・腫脹・紅斑・そう痒感、頭痛、浮動性めまい、口腔咽頭痛、悪心、下痢、発熱、疲労などが認められています。
また、重大な副反応としては、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹など)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が報告されています。
インフルエンザワクチン
毎年冬になるとインフルエンザが流行します。インフルエンザはインフルエンザウイルスによって起こる頭痛、全身の筋肉痛、悪寒、発熱、せき、咽頭痛、消化器症状などを伴って発症する呼吸器感染症で、短期間に爆発的流行を起こすことで知られています。インフルエンザは患者の咳と共に出されたインフルエンザウイルスを吸い込んで感染します。インフルエンザは1種類でなく抗原型(ウイルスの性格)が異なるウイルスが入れ替わり現れて流行します。合併症としては肺炎、心筋炎、脳炎、ライ症候群などがあります。
インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンの中にはA型とB型の成分が含まれており、その年に流行することを予測して、毎年違う型のワクチンが作られます。現在のワクチンの中には従来の季節性のインフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンが含まれています。現在のインフルエンザワクチンはHAワクチンといい、ウイルスの免疫効果のある部分だけを取り出した副作用が非常に少ないものです。インフルエンザワクチンの効果はいろいろと言われていますが、現実的には正確な統計が取れない状況です。ワクチン株と流行株が一致した場合の有効率は80%と言われており、ワクチン接種によって高い抗体価(抵抗力)ができた場合は感染から予防できると言われています。また予防接種を受けて感染した場合、症状が軽くなることも知られています。インフルエンザワクチンの免疫の持続は接種後2週から5ヶ月程度と考えられています。小児には通常2回接種しますが13歳以上は1回接種で免疫が出来ると言われています。
予防接種の副反応
一般的には副反応はほとんど起こりません。接種部位の腫脹(腫れ)が0.5%程度で、まれに発熱がみられることがあります。卵アレルギーがあるひとはアレルギー反応が見られることがありますが実際は非常にまれです。もし強い卵アレルギー(ショック、蕁麻疹など)がある人は接種前に皮内テスト(ワクチンによる皮膚のテスト)が必要になることがあります。
副作用被害救済制度について
小児に対してインフルエンザワクチンは任意接種です。もし入院が必要な強い副反応がおこり、障害などが生じた場合は国の救済制度の対象となります。
(インフルエンザワクチン以外の任意接種は医薬品副作用被害救済制度の対象となり国からの保障はありません。)
フルミスト点鼻液(インフルエンザワクチン)
鼻へ噴霧するタイプのインフルエンザワクチンです。 注射タイプと異なる特徴としては、痛くないため注射が苦手な方におすすめです。効果が長持ちするため、1シーズンに1回のみの接種で予防効果が期待できます。
注射タイプとの比較
ワクチン名 | フルミスト点鼻液 | インフルエンザワクチンHA |
---|---|---|
対象年齢 | 2~18歳(19歳未満) | 生後6ヶ月~ |
投与方法 | 鼻腔投与(痛みなし) | 皮下注(痛みあり) |
接種回数 | 1回 | 2回(13歳以上は1回) |
ワクチンタイプ | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
効果の持続 | 1シーズン | 3~4ヶ月 |
株変異の影響 | なし | あり |
分泌型IgA 産生 | あり | なし |
ワクチンからの感染 | 約2%(おおよそ55人に1人) | なし |
周囲への人への感染の可能性 | あり ※くしゃみなどの飛沫による。生ワクチンのため周囲の免疫不全の人は注意が必要。 |
なし |
副反応(5%以上) | 鼻づまり・鼻漏(約60%)、発熱(1~10%)、咳嗽、口腔咽頭痛 | 注射部位の疼痛・腫脹・硬結、熱感(5%以上)、頭痛、発熱、鼻漏 |
お互いの併用 | 可能 | 可能 |
料金 | 8,000円 ※自治体による補助の対象外です。 |
1回目:3,850円 2回目:3,300円 ※13歳未満は2回接種。1回目を別の医療機関で接種の場合3,850円。 |
生ワクチンについて
生きている細菌・ウイルスの病原性(毒性)や感染力を弱めて作ったワクチンです。自然感染と似た流れで免疫が作らるため、1回の接種でも十分な強い免疫を得られることが特徴です。 。
おたふくかぜワクチン
- おたふくかぜ(ムンプス)
- おたふくかぜは、ムンプスまたは流行性耳下腺炎とも言われ、耳下腺(耳の下)が腫れ、熱が出る病気です。腫れる場所は耳下腺だけでなく顎下腺(顎の下)にも見られ、一般的には両側、時に片一方だけ腫れるときがあります。合併症として重要なものは髄膜炎(3%)、難聴(2~20万人に一人)、膵炎、睾丸炎(思春期以降は15~30%)、卵巣炎、腎臓炎、血小板減少性紫斑病、糖尿病などがあります。特に睾丸炎、卵巣炎は不妊の原因として考えられています。まれに不顕性感染(感染して症状が全くないもの)が見られることもあります。
ムンプスワクチン(弱毒生ワクチン)
おたふくかぜの流行は4~5才ごろ見られますので、できれば1~2才ごろ受けるようにしましょう。年長児、思春期にまだ罹っていない人はできるだけ接種したほうが望ましいです。おたふくかぜの患者さんと接触した場合はワクチンを接種しても効果がないと言われています。不顕性感染(抗体をもっている状態)があってもワクチンを受けてもかまいません。
1回の注射で免疫ができますが、3~4%は十分な免疫ができないと言われています。
予防接種の副反応
一般的には副反応はほとんど起こりません。
接種後2~3週間頃、まれに発熱、耳下腺腫脹などが見られる事がありますが、症状も軽く数日間で治ってしまいます。
まれに無菌性髄膜炎がおこるといわれています。正確な発生率はわかりませんが1000人に1人と予測されています。
狂犬病ワクチン
狂犬病の発生は、わが国では1958年が最後で、それ以降見られていません。しかしながら、発展途上の諸国では、人狂犬病の発生が多く、中でもインド、中国、東南アジア、中南米では日常的に見られます。狂犬病ウイルスを保有しているのは犬ですが、その他キツネ、アライグマ、コウモリ、スカンクなどにも見られます。狂犬病とは、一般的に初期症状として、食欲不振、頭痛、精神不安、噛まれた部分の過敏痛、知覚異常で始まると言われています。ウイルスが中枢神経に侵入する時期になると、呼吸困難、嚥下(飲み込む)困難を訴えるようになり、はなはだしい場合には、単に水を見たり想像するだけで嚥下困難を起こし、恐水症と呼ばれています。わが国では、ほとんどの犬に狂犬病ワクチンをしているので、日本で感染する可能性は少ないのですが、発展途上国への旅行者、長期滞在者は、狂犬病に出会う機会も多くなるので、狂犬病の予防注射が望まれるところです。
狂犬病ワクチン(不活化ワクチン)
日本の狂犬病ワクチンは組織培養ワクチンと言い、ニワトリの細胞、卵などを使用し作ったもので、よく精製され、安定性、免疫原性(抵抗力をつくること)が高く、重篤な副作用がまったく見られない安全なワクチンと言われています。接種方法は一般的な方法として1回1.0mlずつ4週間隔で2回皮下接種し、さらに6~12ヶ月後に1回1.0ml追加接種します。長期にわたる予防のためには1年ないし2年に1回の追加接種が勧められます。急ぐ場合はWHO方式として、0,7,28日の3回、1ml/回を接種する方法もあります。
予防接種の副反応
わが国のワクチンでは、約10%に局所の発赤腫脹が見られますが、発熱などの全身症状はほとんどありません。アレルギー反応もほとんど見られません。
ワクチンを受けた人が狂犬に噛まれた場合
外国で狂犬に噛まれた場合、応急処置として、できるだけ速やかに創傷部位を消毒用アルコール石鹸水あるいはきれいな水で丁寧に洗浄し、創傷を直ちに縫合する事はやめて、3日間は毎日消毒を繰り返してください。WHOでは、狂犬病ワクチンを受けて1年以内の場合は、噛まれた日に1回、2年以内に受けている場合は噛まれた日と3日後に1回ずつ狂犬病ワクチンの追加接種を受ける事を勧めています。
小児用肺炎球菌ワクチン
- 肺炎球菌感染症
- 肺炎球菌は小児の細菌性肺炎の原因としてもっとも代表的な細菌です。また極めて重い病気である細菌性髄膜炎や潜在性菌血症(菌が血液の中に入りこむ)などの原因のひとつになっています。日本では、毎年約200人の子供が肺炎球菌による髄膜炎にかかり、うち1/3ぐらいが命を奪われたり、重い障害が残ったりしています。中耳炎や副鼻腔炎などの原因として重要視されています。
小児用肺炎球菌ワクチン
非常に新しいワクチンで日本では平成22年2月下旬に発売された不活化ワクチン(病原体が生きていない)です。接種間隔が3種混合ワクチンやヒブワクチンと似ていますので同時接種も可能です。2ヶ月から9歳以下まで接種できます。接種回数は年齢によって以下のように異なります。
- 2ヶ月~6ヶ月児は27日以上の間隔で3回接種し、60日以上の間隔をおいて追加接種。
- 7ヶ月~11ヶ月児は27日以上の間隔で2回接種し、60日以上の間隔をおいて追加接種。
- 1歳児は60日以上の間隔をおいて2回接種。
- 2~4歳児は1回接種。
予防接種の副反応
接種部位が、赤くなったり、熱をもったりあるいは腫れることがありますが、頻度はほかのワクチンと同じ程度です。現在世界の約100カ国で接種され、安全性は確認されています。
水痘ワクチン
- 水痘
- 水痘は「みずぼうそう」とも言われ、感染性の強い病気で5歳までに約80%の子どもがかかると言われています。主な症状は発疹、発熱です。発疹は丘疹(もり上がり)、水疱(水ぶくれ)、膿疱(にごってくる)、痂皮(かさぶた)になります。合併症としては、まれに肺炎、脳炎、皮膚の細菌感染症が見られます。高齢者におこる帯状疱疹は水疱と同じ原因ウイルスでおこります。
- 水痘ワクチン
- 水痘(水ぼうそう)のウイルスの毒性を弱めたものです。現段階では健康小児すべてを対象として接種する事は勧められていませんが、一般的には満1才以上(1歳以下でも接種は出来ます)が対象とされています。
- 免疫効果
- 95%以上に免疫が出来るとされています。
- 副反応
- 健康小児、成人ではほとんど見られません。
- ワクチン接種後の水痘感染
- 20~30%程度と言われています。ただしワクチン接種者が水痘にかかっても症状が非常に軽い(発疹の数が少ない事と,水疱の出来方も少ない)事が確認されています。
水痘にかかったかどうか解らない時
水痘にかかったかどうかがわからない場合は血液の抗体を調べると知ることが出来ます。しかしもし抗体があったとしてもワクチンを受けた時の弊害はありません。
2回接種
- 対象年齢:生後12ヶ月~36ヶ月に至るまでの間(標準:12ヶ月~15ヶ月)
- 回数:2回
- 接種間隔:3ヶ月以上(標準:6ヶ月~12ヶ月)
緊急接種
水痘患者との接触後72時間以内であれば大部分発病を予防できます。
発症した場合でも軽い症状で経過します。
日本脳炎ワクチン
日本脳炎は日本脳炎ウイルスの感染でおこります。人から直接ではなくブタの中で増えたウイルスが蚊によって媒介されます。感染者のうち100人~5000人に1人が脳炎を発症します。7~10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。脳炎にかかると15%の人が死亡し、神経の後遺症を残す人が約50%あります。ブタのウイルス汚染状況からみてもウイルスは毎年夏になると確実に日本に広がっています。毎年10名未満が西日本を中心に発生しています。
日本脳炎ワクチン(不活化ワクチン)
不活化ワクチンですので3回接種する必要があります。Ⅰ期は3歳(標準的な年齢)で1週間以上の間隔で2回接種します。生後6ヶ月から接種できますので、蚊が多い地域にお住まいの方は早めの接種をおすすめします。おおむね1年後に追加1回を接種します。計3回で基礎免疫が完了します。基礎免疫が完了しますと98~99%の人が抗体を獲得します。抗体ができてそのままでは少しずつ減っていきますので4~5年に1回の追加接種を受ける必要があります。したがってⅡ期を小学4年生頃に1回接種します。大人になっても4~5年に1回の追加接種が望まれます。これを正しく実施すれば一生涯免疫が続きます。
予防接種の副反応
37.5℃以上の発熱は接種後2日以内に約1.6%に見られます。発疹は0.3%以下の頻度で見られます。注射局所の腫脹、発赤および頭痛が接種後2日以内に約11%見られます。
また日本脳炎ワクチン接種後に急性散在性脳脊髄炎(ADEMと略す)をおこしたとの事例が極めてまれに報告され、ワクチンとの因果関係が指摘されているケースもあります。
平成21年6月から新しいワクチンが発売され、新ワクチンは「組織培養法」という方法で製造され、原材料にマウスの脳を使用した旧ワクチンより、副作用のリスクが低いと期待されています。
副反応がひどい時は医師に相談してください。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は細菌の中の1つで、自然界や健康な人にも存在します。
この肺炎球菌は体力が落ちているときや、お年よりになって免疫力が弱くなってくると病気を引き起こします。肺炎球菌が引き起こす主な病気としては、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などがあります。
肺炎球菌ワクチン(不活化ワクチン)
肺炎球菌ワクチンとは肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)を予防するためのワクチンです。したがって、肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌以外の原因による病気(感染症)に対しては残念ながら予防効果はありません。しかし、肺炎球菌は肺炎の原因の中では最も重要な位置をしめている細菌です。インフルエンザには多くの種類があるように、肺炎球菌にも多くの種類(80種以上)があります。このワクチンは、1回の接種でいろいろな型に効くようにつくられています。 抗体は5~10年程度持続するといわれています。
肺炎球菌ワクチンを受けたほうがいい人
- 手術で脾臓をとった人
- 高齢者(特に65才以上)
- 心臓や呼吸器に慢性疾患、腎不全や肝機能障害、糖尿病のある人
予防接種の副反応
接種後に、注射部位の腫れや、痛みが10%程度見られることがありますが、日常生活に差支えるほどのものではありませんし、1~2日でなくなります。
発熱は1~2%程度見られます。多くのデータにより安全に接種できることが確認されています。まれにショック(500万回に1回)が見られることがあります。
再接種について
1回目の接種から、5年経過すると再接種が可能となります。
破傷風ワクチン
破傷風は、土の中にいる破傷風菌が傷口から侵入して病気を起こします。菌の出す毒素のために口が開かなくなったりけいれんを起こしたり、死亡することもあります。患者の半数は自分では気がつかない程度の軽い傷が原因です。菌は日本中どこでもいますので、感染する機会はあります。特に汚いところでの外傷は破傷風菌の感染率が高いので注意を要します。
海外では新生児の破傷風が多発し問題になっています。また医療事情がよくない発展途上国での破傷風感染には注意が必要です。
破傷風ワクチン
破傷風トキソイドが含まれたワクチンです。破傷風トキソイドとは破傷風菌の毒素を処理してワクチンにしたものです。破傷風トキソイドは三種混合ワクチン(および二種混合ワクチン)の中に含まれています。日本では乳幼児期に三種混合ワクチンを4回接種し、11~12歳で二種混合ワクチンを1回接種するようになっています。
乳幼児期に4回接種していれば十分な免疫ができますが、1回のみの接種では免疫はできません。
予防接種の副反応
一般的には副反応はほとんど起こりません。注射後数日以内に軽いしこりがみられることがあります。まれに接種当日熱がでることがありますが、翌日には下がることが多いようです。
風しんワクチン
風しんウイルスの飛沫感染によって起こる病気です。潜伏期は2~3週間で症状は特有な発疹と発熱、頚部リンパ節腫脹が見られます。年長児では関節炎が見られることがあります。俗に「三日ばしか」と呼ばれているように症状は比較的軽く、予後は良好で、あまり重要視されていませんが、血小板減少性紫斑病(患者3000人に1人くらい)、脳炎(患者6000人に1人くらい)、まれに溶血性貧血等の合併症を起こすことがあり、軽視することはできません。年長児や大人になってからかかると一般に重症になりやすく、3日ではなおらないことが多いようです。一番恐ろしいのは妊婦が妊娠早期に初めてかかりますと、先天性風しん症候群と呼ばれる異常児(心奇形、白内障、聴力障害など)が生まれる可能性が高くなることです。
風しんワクチン(弱毒性ワクチン)
ワクチンによって95%以上の人に免疫ができます。ワクチンの持続期間はまだはっきりしませんが20年間は持続するといわれています。
2~3歳になると、かかる人が急に増えますので、3歳までには受けるようにしましょう。保育園や幼稚園に行く人は、麻しんに続いて入園の前にすませましょう。お母さんが次の子供を妊娠中であっても、お子さんは受けられます。幼時は生後90ヶ月未満までが定期の対象者となっていますので、小学校1年生および2年生で定期内にある人はぜひ受けておきましょう。風しんにかかったことがある人は接種する必要はありません。成人の場合、妊婦さんには接種できません。また風しんワクチン接種後2ヶ月間は避妊が必要です。
予防接種の副反応
風しんワクチンも弱毒性ワクチンですから、麻しん(はしか)と同じようにウィルスが体内で増えますので、軽い風しん様症状が出ることがあります。軽い発熱、発しん、リンパ節腫脹などが出ますが、接種を受けた者100人中4人以下です。成人女性は一過性の関節炎が接種を受けた者100人中6人程度にみられます。
副反応がひどいときは医師に相談してください。
ポリオ不活化ワクチン
ポリオは「小児まひ」と呼ばれポリオウイルスによって手足に麻痺を起こす病気です。ポリオウイルスは人の便から人へ感染します。感染者の90~95%は全く無症状の「不顕性感染」となります。感染後5日前後の潜伏期の後、発熱、嘔吐、頭痛などを伴い手足のまひを起こし、後遺症として運動麻痺を残します。日本では1980年を最後にポリオ患者の発生はゼロになっています。しかし、アフリカ、アジアの一部ではポリオが流行しています。
ポリオ不活化ワクチン
不活化ワクチンはポリオウイルスの病原性をなくし、免疫を作る成分だけを取り出して製造されたものです。乳幼児に4回接種した時高い免疫ができ、4~5年は効果が持続することが分かっています。また生ワクチンと違って、ポリオを発症する恐れがありません。
予防接種の副反応
臨床試験での副反応は接種部位の疼痛(8.1%)、発赤(66.2%)、腫れ(37.8%)が見られましたが、ほとんどが軽度の反応でした。全身反応の中で37.5度以上の発熱は14.9%見られました。
麻しん(はしか)ワクチン
麻しんウイルスの空気感染によっておこる病気です。伝染力が強く、免疫がなければ一度は必ずかかる重い病気です。ウイルス感染後10日ぐらいで発熱、咳、鼻汁、目やにを主症状として発病します。口の中(ほっぺたの粘膜)に特殊な斑点(コプリック斑)が出現するのが特徴的です。発疹は3~4日で色素沈着を残して消えていきます。また、気管支炎、肺炎、中耳炎をよく合併します。中耳炎は7~9%、肺炎は1~6%、脳炎は1000人に4人の割合におこっています。亜急性硬化性全脳炎(特殊な進行性脳障害)が100万人に21人の頻度で発生しています。はしかにかかった人の1万人に1人の割合で死亡します。わが国では現在でも年間約50名の子がはしかで命を落としています。予防するためぜひ予防接種を受けましょう。
麻しんワクチン(弱毒性ワクチン)
生ワクチンを受けた場合、96~98%の人が抗体を獲得できます。麻しんワクチンによる免疫はこれまでのところ長期にわたって持続すると考えられていますが、ワクチン接種を受けたものの中で、その後に麻しんにかかるものが数%あると言われています。麻しんは1歳から2歳の間にかかる子が多くなっています。1歳になったら半年以内に受けるように努めましょう。なお、Γ-グロブリンを注射された方は3ヶ月~6ヶ月は接種できませんのでご注意ください。
予防接種の副反応
このワクチンは弱毒性ワクチンですからウイルスが体の中で増えるため、接種してから5~14日後に5.3%に37.5℃以上、8.1%に38.5℃以上の発熱、5.9%に軽い麻しん(はしか)に似た発疹が認められることがあります。また、時に自然麻疹に近いような症状が出ることがあります。通常は1~2日で消失します。また、発熱に伴う熱性けいれん(300人に1人)が起こります。その他、脳炎・脳症(100~150万人に1人)、亜急性硬化性全脳炎(特殊な進行性脳障害)が100万人に21人(48000人に1人)に見られることがあります。
ワクチン添加物により接種直後(30分以内)に接種部位の発赤、腫脹(はれ)、じんましん、アナフィラーキシーショック(非常に強いアレルギー)などを起こすことがあります。
麻しん・風しん混合ワクチン
- 麻しん(はしか)
- 麻しんウイルスの空気感染によっておこる病気です。伝染力が強く、免疫がなければ一度は必ずかかる重い病気です。ウイルス感染後10日ぐらいで発熱、咳、鼻汁、目やにを主症状として発病します。口の中(ほっぺたの粘膜)に特殊な斑点(コプリック斑)が出現するのが特徴的です。発疹は3~4日で色素沈着を残して消えていきます。 また、気管支炎、肺炎、中耳炎をよく合併します。中耳炎は7~9%、肺炎は1~6%、脳炎は1000人に2人の割合におこっています。亜急性硬化性全脳炎(特殊な進行性脳障害)が100万人に21人の頻度で発生しています。はしかにかかった人の1万人に1人の割合で死亡します。
- 風しん
- 風しんウイルスの飛沫感染によって起こる病気です。潜伏期は2~3週間で症状は特有な発疹と発熱、頚部リンパ節腫脹が見られます。年長児では関節炎が見られることがあります。症状は比較的軽く、予後は良好で、あまり重要視されていませんが、血小板減少性紫斑病(患者3000人に1人くらい)、脳炎(患者6000人に1人くらい)、まれに溶血性貧血等の合併症を起こすことがあり、軽視することはできません。年長児や大人になってからかかると一般に重症になりやすいようです。妊婦が妊娠早期に初めてかかると、先天性風しん症候群と呼ばれる異常児(心奇形、白内障、聴力障害など)が生まれる可能性が高くなります。
麻しん・風しん混合ワクチン(弱毒生ワクチン)=MRワクチン
麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)は麻しんと風しんの2種類のワクチンが含まれています。麻しん風しん混合ワクチンを受けた場合、96~98%の人が麻しんの抗体を獲得できます。しかしながら、その後に麻しんにかかるものが数%あると言われています。
麻しん風しん混合ワクチンを受けた場合95%以上の人に風しんの免疫ができます。ワクチンの持続期間はまだはっきりしませんが20年間は持続するといわれています。
お母さんが次の子供を妊娠中であっても、お子さんは受けられます。風しんにかかったことがある人は接種する必要はありません。成人の場合、妊婦さんには接種できません。また風しんワクチン接種後2ヶ月間は避妊が必要です。
予防接種の副反応
このワクチンは2種類の弱毒生ワクチンが含まれているため2種類のウイルスが体の中で増えます。麻しんワクチンによって、接種してから5~14日後に5.3%に37.5℃以上、8.1%に38.5℃以上の発熱、5.9%に軽い麻しん(はしか)に似た発疹が認められることがあります。また、時に自然麻しんに近いような症状が出ることがあります。通常は1~2日で消失します。また、発熱に伴う熱性けいれん(300人に1人)が起こります。その他、脳炎・脳症(100~150万人に1人)、亜急性硬化性全脳炎(特殊な進行性脳障害)が100万人に21人(48000人に1人)に見られことがあります。ワクチン添加物により接種直後(30分以内)に接種部位の発赤、腫脹(はれ)、じんましん、アナフィラーキシーショック(非常に強いアレルギー)などを起こすことがあります。
さらに、この中に含まれる風しんワクチンも弱毒性ワクチンであるため、ウイルスが体内で増え軽い風しん様症状が出ることがあります。軽い発熱、発疹、リンパ節腫脹などが出ますが、接種を受けた者100人中4人以下です。成人女性は一過性の関節炎が接種を受けた者100人中6人程度にみられます。
副反応がひどいときは医師に相談してください。
ロタウイルスワクチン
胃腸炎の原因になるウイルスはたくさんありますが、一番重症になりやすいのがロタウイルスによる胃腸炎です。この病気にかかると水のような下痢が何回も続き、それに嘔吐が伴うと体から水分と塩分がなくなり、いわゆる脱水症になります。下痢便の色が白くなることも多いので「白色便性下痢症」、冬に多いので「冬期下痢症」と呼ばれたこともあります。また、このロタウイルスは下痢だけでなく、腸重積症、繰り返すけいれんや脳炎(毎年約40人)など重い合併症もおこします。感染力が強く、保育所などでもあっという間に流行します。手洗いなども大切ですが、完全に伝染を抑えることはできません。根本的な治療法がないために、ワクチンによる予防が重要です。脱水症がひどくなると、点滴や入院が必要になります。けいれんや脳炎(毎年約40人)などの多くの合併症のため後遺症を残したり、死亡することもあります。年間78,000人の5歳未満の小児がロタウイルス胃腸炎で入院しているものと推定されます。入院患者の6割は生後6カ月から24カ月にいたる乳幼児期に発生していまので、できるだけ早くワクチンを接種して免疫をつける必要があります。
ロタウイルスワクチン
経口生ワクチンで「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類があります。
- ロタリックス(生後6週から24週まで4回以上の間隔をあけて2回)
- ロタテック(生後6週から32週まで4回以上の間隔をあけて3回)
予防効果
96%以上
接種してはいけない場合
以前に腸重積症を起こした場合。
他のワクチンとの接種間隔および同時接種
ロタウイルスワクチンは生ワクチンのため、接種後に4週以上間隔をあけなければ次のワクチンを接種できません。0歳児はほかにも接種が必要なワクチンが多数ありますので、同時接種で受けることが重要です。具体的には、生後2か月になったらヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎ワクチンなどと同時接種で受けることをおすすめします。
予防接種の副反応
現時点では特に問題となる副反応は報告されていません。ただし昔のロタウイルスワクチン(旧ロタウイルスワクチン)では接種後に腸重積を起こした事例がありますので念のために腸重積の好発年齢(6~8ヶ月を過ぎた子どもさん)になったら接種を差し控えたほうがいいといわれています。